博論のはなし(klisアドカレ)
これはklis Advent Calendar 2022 18日目の記事です。
こんにちは。klis14、そのまま博士まで内部進学したういういです。
去年からTwitterでお題を募集することにしました。
klisアドカレのテーマ
— ういうい@ちば時々つくば (@uimy28) 2022年12月6日
今年は博論のテーマと修了後の進路についてです。
1.博論のテーマ
私の博論のテーマは「ロンドンの公共図書館における社会的包摂への取り組み」としました。klisの中でもがっつり図書館よりのひとです。
社会的包摂というのは、何かしらの社会的不利要因(失業中とか、貧困とか、教育のレベルが不足しているとか、言語問題とか、障害とか、孤立してるとか)によって、社会参加から排除されているひとを、社会に包摂し、共に生きる、という概念です。
図書館において、それを支援するためにどのような取り組みが行われていて、そこで働く図書館員は社会的包摂の概念をどのように捉えているのかを研究しています。
今イギリスは公共図書館の閉館が問題になっていて(財政難で分館を閉館するところが続出)、閉館しないように色々な対策が取られています。
生涯学習センターやジムなどと統合して運営コストを下げたり、外部に委託したり。閉館した図書館を、地域住民ボランティアが引き継いで運営しているところも。
そういう図書館で、伝統的な直営の図書館と取り組みが違うのか?意識は共通しているのか?というのも研究の着眼点のひとつです。
卒論と修論も大筋のテーマは同じ(研究対象とか、着眼点が違う)ので、卒論と修論を各1章分くらいにぎゅっとして、めちゃくちゃ追記して、そこから3章分くらい書くとできあがり。
うちの博士修了要件は査読論文2本+博論ですが、査読論文も卒論と修論のエッセンスをぎゅっとして追記して再構築したものを通しました。
博論は書き上げたら何かしらで公開される予定なので、公開されたらURLか何か追加しますね。
2.博士3年目の生活
私は2020年に進学したため、今年が博士3年目でした。
本当なら2023年3月で修了予定だったのですが、あいにくコロナ禍で、調査に行けず、論文の査読も遅れ気味で、長期履修制度を利用して4年で修了になるように申請しました。
現地調査の話は
とか
とかをご覧ください。
私は基本的には文献調査+インタビューで論文を書きます。
インタビューは現地でしたもの+オンラインインタビューを今やっていて、自分の英語力に反省しきり……
あと、今年ははじめて、非常勤講師もやっています。
とある短大で司書科目を教えているのですが、準備に時間のかかることかかること……
1年目なので、0から作るのですが、様々な教科書を読み散らかし、論文を読み、時には地域の市立図書館で尋ね、なんとかかんとか仕上げている状態です。
授業1コマ1.5時間に、準備は(回によりますが)5倍以上かかっている(12/20修正。ちゃんと計ったら8~10倍近くかかってました。もちろん回によるけども)と思います。それが週に2コマ、そこから採点したり、演習にコメント返却したり。
授業の日はほぼ1日つぶれるし、まだそれだけでは食べていけないのでバイトもするし、今年は生まれてから1番忙しいといっても過言ではありませんでした。
来年は元になる授業資料ができあがっているので、もう少し楽になることでしょう。
先生方の秘伝のおいしいタレみたいな授業を目指して精進します。
講義するのも、生徒たちの反応を見るのも、グループワークを眺めるのも、とっても楽しい。指導教員には、「教育は好きそうだし、あなたに向いてると思うけど、夢中になりすぎないでね、研究もしなくちゃいけないから」と言われています。さすが指導教員わかっていらっしゃる。
日々時間をちまちま生み出して、博論をちまちまと進めています。
焦る気持ちもたくさんありますが、もう仕方がないのでちょっとずつ。
やめないことがだいじ。
3.修了後の予定というか希望
最終的には任期なし大学教員が希望です(それはそう)。
しばらくは非常勤を掛け持ちしながら任期ありポストに応募を続けるのかな……ポスト応募する範囲(地理的に)どこまで広げようかな……
でも非常勤の間に子ども生んでおいた方がいいかな……
PDとれるといいな……
という感じで何も定まってはいません。上の選択肢のどれかを状況に応じて選びながら生き延びていきます。
とりあえず今の非常勤先は、来年も続けさせていただけそうなのでなにより。
私の進路を参考にしようとしてた後輩はごめんね!!!
でもklis上がりで、司書科目を何か教えられそうなら、非常勤先はそこそこあると思います。私も論文2本通って教歴ついてからちょこちょこお話をいただきました。
一番最初の教歴なしの時期はつらいですが、そこを乗り越えればたぶん大丈夫。たぶん。
klisはわりと博士にあがりやすい環境なんじゃないかなー
先生方も面倒見いいしさ、好きな研究できるしさ。
奨学金とかも取りやすいらしいです。
研究の見通しとしては、一旦社会的包摂の話には目途が付きそうなので、公共図書館の閉館とか、イギリスの図書館運営委託とかに移行しようかな、とは思っています。
あとメンタルヘルスとか発達障害と公共図書館、みたいな話にも興味があります。
ロンドン以外のところも研究しに……調査しにいってみたいです。
4.懺悔とまとめ
私、自分の修論がめちゃくちゃひどいと思ってまして。
怠惰な学生だったこととか、メンタルが綱渡りだったこととか、色々とあったんですが、あまり納得いくものは作れませんでした。今でも、何か参照するために開くと目をそらしたくなります。悔しい。
まったく指導教官の求めるレベルには届きませんでした。修士までの指導教官には幻滅されてると思うし、大好きな先生なので、それがとても悲しい。今でもときどき心が揺れます。当時は大変申し訳ありませんでした。
今の指導教員も大好きなので、博論は納得いくものを書いて、先生が自慢できる弟子になりたい。後輩たちのお手本になるようなものを書きたい。がんばります。
修士までの指導教員も、良いもの書けたら読んでくれるかな……お忙しい方だから無理かな……
なんだかんだ、年を追うごとに、研究以外のことに時間が必要になって、中々まとまって集中する時間はとれません。でも、それは大学教員になったらずっとそうだしな……と思って、練習中です。
とりあえず、1月から3月は非常勤の授業も自分の授業もなく、まとまった時間が取れそうなので、がっつり博論書きたいと思います。
ほんとうに、気が付いたら博士3年まで来てしまいました。
毎日毎日目の前のことを追いかけてきただけです。
寝食忘れるほど研究が好きかと言われると「?」ですが、研究と教育の他に生涯の仕事にしたいことがあるかと言われるとNoです。
こんなやつでも、博士3年までやっていけるんだな、と眺めてもらえれば幸いです。
卒論や修論に苦しんでるみんな!!論文なんて書くしかないんだからね!!日々ちょっとでも書こうね!!